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9話 ごほうび
希望は幸福で満たされていた。
夕食後、まったりと休んでからのお風呂だ。
約束通り、『ぜーんぶ洗ってあげる』をしてもらっている。
希望の髪は、たっぷりと泡立てたシャンプーを纏っている。受験期間ずっとがむしゃらに働いていた頭は、ライの大きく力強い手でじっくりと揉み解されていった。
シャワーで泡が洗い流されると、髪の毛がへたり、と額や頬に張り付くが、ライの指先が優しくかき分けて、頬や額に触れる。それが少しくすぐったくて、心地良かった。
身体もきめ細かい泡で包まれている。あられもない姿できわどい隙間まで隈なく丁寧に磨かれ、柔らかいボディタオルが肌を滑る感触が気持ちよい。
それが、不意に胸の突起を掠めた。
「ひゃんっ!」
上擦った声がバスルームに響いて、希望は思わず口を押さえる。
顔を真っ赤にしたままライを見上げると、ライはただ優しく微笑んでいた。
「なに?」
「なっなんでもない……!」
「あっそ」
ライは何事もなかったように、また希望の肌にボディタオルを滑らせる。
ここではしない、ちゃんとベッドでいっぱいしてもらうんだ、と希望は心に決めていた。だから、先程までは、肌を滑る柔らかい感触が心地良かった。
けれど、一度〝そういう刺激〟として受け入れてしまうと、全部変わってしまう。
心地良いものから、気持ちいいものになってしまう。
「あっ……んっ、……っ……!」
ボディタオルが肌を滑る刺激に、希望は身体を震わせた。
触れられ、磨かれたところから、じわじわと熱を持っていく。身体の奥にしまいこんだ情欲が呼び起こされて、身を捩った。
ライはもう直接弱いところには触れようとしない。けれど、もう一度柔らかで甘い刺激を求めるように、希望の胸の果実がぷっくりと膨れてしまっている。
それだけでも恥ずかしくてしかたないのに、さらに腹の下には存在を主張し始めているのも見えて、慌てて両手で隠した。
ずっと我慢してきたことを思い出したけれど、今じゃないんだと自分に言い聞かせる。
そんな希望の震える背中をライはじっと眺めていた。
「……そういえばさぁ」
「ひぅっ……!」
ライの手が希望の太腿に触れて、身体が強張った。むっちりと白く柔らかい太腿を強く掴んで、無視できない刺激を与えるように撫で続ける。
「一人で出来た?」
「えっ!?」
大袈裟な動作で希望が震えて、ライを見上げた。
ライはじぃっと希望を見つめて微笑んでいる。太腿を撫でる手が、内側へと入り込もうとするので、希望は慌てた。
「し、してな……!」
「してない? できなかったじゃなくて?」
ぎくり、と身体を強張らせて、希望の頬はより一層赤く染まった。露骨な反応に、ライが喉の奥で低く笑っている。
希望は恥ずかしくて俯いたが、ライが耳元に唇寄せたので、また小さく肩を震えた。
「一回抜いておこうか」
「えっ、あ……でも!」
希望は耳まで赤く染まって、ライから逃れようと身を捩るが力強い腕に捕えられてしまっていた。
太腿を撫でていたライの手が、ゆっくりと迫る。
希望の両手をやんわりと掴むと、震える象徴を暴いてしまった。
「あ、ま、まって……」
「このままじゃ風呂入れないだろ?」
「んっ、うん……あっ」
ライの大きな手が、優しく包み込む。
背にはライの逞しい身体を感じて、首筋に唇が触れた。
ライの手が上下にゆっくりと動き出す。
「あっ、んっ……! あぁっ……! ああっ!」
背後から回されたライの腕にしがみ付いて、希望はびくびく、と震えた。
すぐに先走りがとろとろと溢れて、濡れた音がくちゅくちゅと響いている。熱くて、ごつごつとしてて、大きい手に、全部を包み込まれて、なすすべなく身を任せていた。
やんわりと優しく緩やかな刺激が続く中で、時おり敏感な先をライの親指がずりゅ、と強く擦った。その度に希望は一際高い声で鳴いて、身体を震わせている。
自分以外の誰かに触れてもらうのは久しぶりすぎて、どうやって耐えたらいいのかわからなかった。
「やぁ、ああっ……! あっ、――――ァアッ……!」
希望はライの手の中で、あっさりと白濁を吐き出してしまった。
激しすぎない緩やかな刺激で達したので、希望はくったりとライに寄り掛かって、息をついた。
触れ合う身体の熱さに安心して、達した後の僅かな気怠さで頭がぼんやりと蕩ける。
「続きはあとで」
耳元で甘く低く響く声に、小さく頷く。
達したばかりなのに、腹の奥でじゅくり、と熱が溢れそうだった。
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