9話 ごほうび

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 希望の蕾がライの雄をずっぷりと受け入れたところで、ライは奥まで一気に貫く。   「~~――っっ! ――っぁ……!! ……んっ……!」    希望の身体が大きく震えて、白濁をとぷっと溢れさせた。突然の絶頂に、声も出せずに仰け反り、シーツを掴んでびくっ、びくっと痙攣している。   「もうイったの? そんなに我慢してたんだ?」 「んっ……!」    希望は余韻に震えながら、こくこくと頷いた。   「抜いていい、って言っておいただろ? 一回もしなかったのか?」 「っ……! ……し、してな、い……」 「本当は?」    希望は目を逸らして答えたが、ライはじっと見つめている。  ライの瞳が細められて、何もかも暴いてしまうような暗い光がじっとりと希望にまとわりつく。   「……っ……」    じっと見つめられている間も、希望の身体はより激しい快楽を求めている。  一突きされたことで、身体は完全に情欲を目覚めていた。  動いてくれないライの代わりに、希望の腰が揺らめく。  しかしすぐに、ライが希望の細腰をがっしりと掴んで止めてしまった。   「あっ……! ラッ、ライさん……っ!」 「んー?」    ライが首を傾げて微笑む。  希望の縋るような眼差しも、じっと愛おしそうに、楽しそうに眺めていた。  どうしようもなくライを求めながら、必死に自分の身体を弄って、快楽をかき集めようとしていたことはばれたくないと希望の瞳に涙が滲む。  けれど、腹の奥が疼くのを、これ以上止めることはできなかった。   「……っし、した……」 「なに? 聞こえない」 「……っ……したっ! いっぱいした!」    希望はぎゅう、とライの腕を掴んだ。   「いっぱいしたんだぁ? それにしては欲求不満過ぎ」 「だって……! ここまで届かなくて!」    希望は下腹部に触れた。今はライが深く抉り、奥まで満ちている。   「指じゃ届かなくて、なんどもいっぱいしたけど、ここまで欲しくて、欲しくて、でも足りなくて……! いっぱいしたけど、できなかったの!」 「あっそう」    ライが楽しそうに、喉の奥で低く笑う。深い緑の瞳の奥で、暗い光がゆらゆらと誘うように揺れていた。   「言えばよかったのに。手伝ってやるって言っただろ?」 「……だって……っ」 「次はちゃんと言えるよな?」   ライは希望の頭を優しく撫でる。希望は恥ずかしい告白をさせられて取り乱していたが、ライの大きな掌に少しほっとした。   「わかった?」 「う、うんっ……! わかった、わかったからぁ……だから、もぉっ……!」    ぐっぷりと挿し込まれたままの熱が動いてくれなくて、希望は身体を震わせ、潤んだ瞳でライを見つめた。  希望がライの足に腰を絡めて引き寄せようにも、逞しい身体はびくともしない。腕を掴んで、背中に手を回しても、ライはただじっと希望を見つめて微笑んでいる。   「ライさんっ……! あの……っ……も、もう……!」 「なぁに?」    ライが微笑んだまま首を傾げる。  希望は縋るように見つめ、熱い吐息を零した。  どうしたら、してくれるのだろう? と必死に考える。     『次はちゃんと言えるよな?』      先ほどのライの言葉がじんわりと希望の頭を支配した。    僅かに残った理性とじわじわと情欲に侵されていく心の狭間で、希望は震えていた。  はぁっ、はぁっ、と熱っぽい吐息を零し、瞳はとろとろと潤む。  ぷるりと震える唇を意を決したようにぎゅっと結んで、息をついた。   「いっ、いっぱい、したい……っ! いっぱいしてぇ……? ここにいっぱいくださいっ……!」    希望はライを見つめて、下腹部を撫でる。ライの欲を飲み込んで、もっと奥へと求めている。  ライは満足そうに笑みを浮かべて、希望の頬を撫でた。  よしよし、いいこいいこ、と頬を撫でて、キスをする。   「本当に、覚えがいいなぁお前は」    ライはぎゅうっと希望を抱き締める。楔が奥を抉ったが、希望は恍惚と「ああ……」と熱く吐息を零した。  くたり、と希望はライに身を任せる。  ライは希望の頭を優しくゆっくりと撫でながら、耳元で囁いた。   「じゃあ、ご褒美の続きしよっか」    そう言って、ライは愛撫を再開し、ゆっくり動き出す。    自分の欲望を口にすることで、しがらみから解き放たれたかのようだ。  戸惑いや羞恥、理性を投げ捨てた希望は、ああ、ああ、と悦び、ひたすら甘く鳴いた。        ごほうび。    うれしい。
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