1話 下心と出来心

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1話 下心と出来心

 小鳥遊希望(たかなしのぞみ)は、高校生である。  恋と仕事と勉強、その他様々な楽しいことで大忙しの思春期を突っ走り、青春を謳歌していた。  そんな希望も一八歳。高校三年の夏、本格的に受験生となった。    希望には歌手としての仕事がある。歌うことは好きだから、この世界で歌い続けていくことはきっと変わらない。  しかし、希望にはもっともっと、学びたいこと、見たいこと、やってみたいことがたくさんあった。元々仕事は忙しくても、勉強を疎かにしていたわけではないし、希望の高校には大学進学のためのカリキュラムも存在する。基礎学力は育っていたし、環境も整っていた。  それでも、志望校は今の希望には少し、高い目標だった。他の級友たちと同様に、少しでも勉強しておかなければならない。  次の模試は一ヶ月後に控えている。  希望は少しでも良い結果を出そうと努力する日々を送っていた。    そんなある日、希望に最大の試練が訪れる。    ***
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