72人が本棚に入れています
本棚に追加
彼女は「え」と呟き、涙に濡れた目を上げた。
「白い、糸? 赤い糸じゃなくて?」
「ハハッ、そうです。白い糸。天使はそれを"想いの糸"と呼んでました」
「……天使」
「そう。その糸で繋がれていたから、俺は二週間もあなたと離れられずにいたし、元々霊感のない花純さんにもゴーストの俺が見えた……」
花純さんは僕の言葉など、どこ吹く風であさっての方向を見て、顔をニヤつかせた。
天使と聞いて、またトリップしてるな……?
彼女らしいなと思い、また頬を緩めた時。
ガラガラ、と病室の扉が無遠慮に開かれた。
「蓮くん、おはよーう! 寝過ぎて体鈍ってんじゃない??」
ハイテンションで現れたのは樹だ。
まだ学校がある時間帯のはずだが、早退だろうか?
彼は僕と花純さんの間に漂う雰囲気を察して、頬を緩ませた。
「なに? 告白、うまくいったの?」
本人を目の前にして聞いてくるのが、樹スタイルだ。
僕は右手を上げて、彼にピースサインを送った。
最初のコメントを投稿しよう!