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荷物が届かない......
登校初日を無事にむかえ、いよいよ本格的な留学生活が始まろうという頃。
私は毎日のように管理人室の前を通りました。
エレベーターで行ききすれば、管理人室の前は通りません。
三階で降りて(私の部屋は四階でした)、わざわざ管理人室の前を通った理由はというと。
半年間暮らしていくために大事なもの、EMSで送った生活用品達を待っていたのです!
しかしです!
EMSで送ったのに渡韓してから四日たっても届かない!
日本からは渡韓する前々日に送ったのに……
ハラハラしました……
手荷物では二〜三日生活できる分しか持ってきていません。
もっと詰めてくればよかったと後悔しました……
日本の郵便局で送った荷物は、韓国の郵便局が配達するのですが、土日はお休みで、しかもタイミング悪く三一節という祝日にあたってしまい、さらに遅れたみたいです……
EMSは日本から韓国までは通常三〜四日で着くのですが、北海道は一度東京に寄ってから韓国にむかうそうです。
関東地方から送るのとは日数も変わってくるというわけなのですが。
結局六日間かかりました。
私が住んでいたコシウォンでは、本人に直接届けてはくれません。
しかし本人がコシウォンにチェックインするタイミングで、日本から荷物を送らなければなりません。
到着が遅れるのが嫌だからといって、早く送っても、コシウォンの管理人がチェックイン前の住人の荷物をあずかってくれるとはかぎりません。
さっきも書きましたが、荷物は本人に直接届けてくれるわけではありません。
宛名に部屋番号や名前を書いたとしても、配達人はコシウォンの中には入れないので、荷物はすべて管理人室の前に置いていきます。
管理人さんはいつもいるわけじゃないのに、盗まれるのでは? と心配になるのですが、人のものを誰も勝手に持っていったりしないんですよ!
日本でいえば東京にあたるソウルは大都会なのに、不思議なくらいに安全でした。
今日もつかない……
また今日もつかない……
もしちがう場所に配達されてたらどうしよう……
もし韓国じゃなくて他の国に行ってしまってたらどうしよう……
もしもの事態が起こっていたとしたら、言葉が通じないこの国でどうやって見つければいいんだろう……
ハラハラした毎日を送っていたとき、見覚えのある段ボールが管理人室の前に積み上げられているのを見つけました!!!
やっとついた……
半年間暮らせる……
心の底からほっとしました……
韓国では郵便局で段ボールを購入できます。
私はそれを知らなかったのと、段ボールをゴミステーションに捨ててもいいのかよくわからなかったのもあり、帰るときも使えるようにクローゼットがわりにしていました。
部屋にはカラーボックスの収納があったので、それに洗剤などを置くと段ボールがあまるのですが、解体して机の下にしまっておきました。
帰るときは洗剤やシャンプー類を使い切っているはずだから荷物がへっているだろうと思ったのですが、逆に韓国に送ったときよりも増えている……
なので捨てないでとっておいて正解でした。
着がえは多めに持ってきていて、洗濯しなくてもギリギリ間にあっていたのですが、たまった洗濯物をいよいよ洗濯します。
洗濯機は台所にあります。
洗剤もあったのですが、使っていいかわからなかったので、荷物が届くまで洗濯しなかったのですが。
洗濯機はフロアに一台しかないので、けっこう争奪戦になります!
前の人が終わりそうな時間に台所にいけば、もう次の人が使っているということもあります。
テレビをつけていると終わりを告げるアラーム音が聞こえないので、見にいけばまだ終わってなくて、何回も行ったりきたり。
終わったらすぐに洗濯物を取りにいかないと、次に使いたい人が勝手に洗濯物を出してしまいます。
なので下着はネットに入れて洗濯したほうがいいでしょう。
私も出されたこともあるし、なかなか洗濯物を取りにこないので、一回だけ前の人のを出してしまったこともあります。
カゴの中に入れておいてあげれば、洗濯機から勝手に出してしまったことを怒られることはありません。
洗濯が終わったら、今度は物干し台の争奪戦です!
台所から廊下に出ると、室内用物干し台が四台くらいありました。
いつも洗濯物でいっぱいです。
部屋の中にも物干しざおがあるのですが、窓が小さくて風通しが悪いので、下着とかすぐ乾く薄い物を干し、生乾きになりそうな洋服類は、廊下の物干し台に干していました。
この物干し台でも干していた私の洗濯物が、勝手にどかされていたことがありました。
きちんとたたんでくれていたのですが、たぶん何年も掃除していないだろう窓辺に置かれていたので、ちょっとショックでした!
せっかく洗ったのにそんなところに置いたらまた汚れてしまう……
そういえば堂々と廊下の物干し台に、下着を干している住人もいました。
いつもというわけではないのですが、男の管理人さんがくるのに、けっこう大人なランジェリーが干してあるのを見るたびに、恥ずかしくないんだろうか? とも思いましたが、恥ずかしくないから干しているのでしょう。
屋上に洗濯物を干せるところもあるようです。
クラスメートは実際にそういうコシウォンに住んでいました。
布団も干せるのでうらやましかったですが、私が住んでいたところは屋上には出られませんでした。
荷物が届いたときの安堵感は、はんぱなかったです。
日本の郵便局のホームページで追跡番号を入力すれば、今どこに荷物があるのかがわかるのですが、わかったとしてもその荷物がもし別の人のところに届いていたら?
まったく別の国に行ってしまったとしたら?
異国の地、どうやって解決すればいいのでしょう。
たとえ荷物が届かなくても、最悪現地で調達すればいいだけのことなのですが、半年分買い集めたものをすべて失うと思うと、そうは簡単にあきらめがつかないものなのです。
夕日を背にしてきれいなシルエットを見せる教会の尖塔
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