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退院
近藤勇の取り調べは特別に田辺病院の病室で行われた。ただまだ、逮捕といっても正式になさ逮捕状が出てるわけでなくてあくまでも退院したら逮捕してそっから本格的な取り調べが始まる。今は、ただの事情聴取だった。
刑事達の説明では、あの家で殺害されていた青田カナさんを尾行して家の中へ入って頭を殴りその後に睡眠薬を大量摂取をして自殺をはかったとの見解だった。少し無理矢理な感じだったが警察は早く犯人をあげたいために状況証拠だけで決めつけていた。後は、近藤が青田さんを尾行していたのを近所の住民が目撃していてその人が通報をしたらしかった。
病室では、二人の刑事が来ていてその中の一人の年齢が少しいってる木下刑事が話を聞く。
「近藤さん。あんたが殺害したんだろ?何でだ?動機は?」
「俺、知りませんよ。悲鳴が聞こえたので家の中へ入ったら、もう、女性が倒れていて、その後に俺の頭を誰かが殴って、そのまま倒れたんだよ。」と頭をかきながら説明するが
「殴られた?お前の体内から大量の睡眠薬が検出されてんだよ。殺したあとに自殺でもしようとおもったんだろ?な?」
「知りませんよ。俺はやってないよ。」
「なぁ、近藤、田舎のお袋さん泣くぞ!」
「残念でした。俺は都会育ちなもんで、しかも、母親はいませんよ。」とべーと舌をだす。
木下刑事が「近藤!」と怒鳴った。
その日の事情聴取はそんな内容で終わって刑事達が「今日はここまでだが、明日から覚悟しろよ。絶体認めさせるからな。」とドアを激しく閉めていった。近藤は「はぁー」とため息をついた。
近藤は、点滴を変えにに来た看護師さんに「ねぇ、俺犯人にされてしまうかもな。どうしよう。」と言うと「殺人犯には見えませんけどね。」冷静に言う。近藤は「もしかしてさ、俺の噂してないか?男前入院したってさ。」と聞くと看護師さんは「さぁ」と笑いながら首を傾げる。
「そうかい。今村さん。下の名前何て言うの?」看護師さんの名札を見て下の名前を聞くと「静です。」と答えると「嘘!静ちゃん?俺の初恋の人の名前と一緒だね。運命かも」と言うと「では。」と言って病室を出ていった。
「はぁーあ」と深いため息をついた。
次の日も、事情聴取が始まるかと思いきや何と近藤が犯人でないとなり逮捕の話もなくなり釈放された。刑事達は詳しい理由を説明することもなく、謝る事もなく、話をして病室から出ていった。
近藤は悔しかったが、逮捕されなくて良かったとホッとしていた。
刑事達は釈放の理由を言っていないが、実は亡くなった青田カナさんは近藤が家に来る前の8時間ぐらい前に死亡していることが司法解剖で判明してそれだと近藤が、殺したとはならなくなった。しかも、8時間前の近藤のアリバイは取れていたし、何よりも近藤が尾行していた人は一体誰だったのかとなる。
あとは、尾行したのを目撃されていたがその人が警察に通報したかと思ったらそれもまた、誰が通報したかも分からなかった。
警察は、近藤を犯人にさせるためにそうしたことをやったのかと言う見解に変わったのだった。
そうして、近藤の無実が分かり釈放された。
数日入院した近藤は、病院の支払いを避けるために黙って病院を抜け出した。
夜にはあのバーへ向かおうと思っていた。
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