俺さ!探偵なんだ。

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俺さ!探偵なんだ。

「おい!やめてくれないか。」と細身で頭が河童みたいなハゲかたをしている男性が止めに入る。 その河童の前には二人の女性が「私の彼よ。」と言いもう一人の女性も「何言ってるの私の彼よ。」と言い争っていた。河童の頭の男性は「おい!俺一人を取り合いにしないでくれよ~」と嬉しそうに言ったとき現実に引き戻された。 「お客さん、お客さん、起きてください。」と体を揺すられて近藤は目を覚まし「ん?何だ夢か~、せっかく二人の女性が俺を取り合っていたのにもう、起こすなよ。」と少しふくれて言う。 すると、ここの若いバーのマスターが「お客さん、困りますよ。カウンターで寝られたら。」と顔は怒ってるが冷静な口調で言う。 怒られながらも、近藤はカウンターについていた自分のヨダレが気になり気づかれないように腕でふいてニヤットする。 近藤勇(35) は細身で頭のてっぺんが河童みたいなハゲかたをしていて、そこ以外特徴はこれとなかった。いつも、冗談ばっかし言うしいい加減な性格でもあるので人からは信用されていなかった。 このバーは今日初めて来店して歩き疲れたせいでカウンターで寝てしまっていたのだった。 近藤はマスターが怒ったにも関わらず「いやね!マスター俺は探偵やってるんだよ。今日、夢を見てね、探偵をやってる俺!かっこ良かったな~、だから、今日から俺は探偵をやることにしたんだよ。あとさ、探偵って言ったら「探偵は❌❌にいる」だろ?そんな映画とかあったろ?だから、バーだろ?格好いいじゃん。探偵は公衆電話にいるとか探偵はカラオケにいるとか、ラーメン屋にいるとかホームセンターにいる等でもいいかと思ったがやはり、洒落たバーがいいかと思ってね。だから、ここにしたんだよ。」と長々話す。マスターは、話を聞いてるか聞いてないか分からない態度でグラスを磨いていた。 近藤は「マスター、俺さ、連絡手段ないんだよ。だからさ!ここ、電話使っていい?」とお願いするとマスターは即答で「だめです。」と言うと近藤は笑いながら「やっぱり話し聞いていたんだな。そのままの流れで持っていこうと思ったのに」と鳴らない指パッチンをする。 近藤は、しばらく風呂に入っていなかったせいか、頭が痒くなりかきむしっていた。 すると、二人の女性が来店して、近藤の席一つ空いてる隣に二人が座り、カクテルとピーナッツを頼んでいた。 近藤はその女性達が頼んだピーナッツを一粒つまんだ。すると、女性の一人が「何するんですか?」と怒って言うと近藤は「ゴメンナサイね、ワタシニホンゴ苦手ね。イギリス生まれのロンドン育ちなのね。」と答えるとその女性が「酔ってるですね。やだなー」と諦めたような声を出すとマスターが「お客さん、止めてもらえますか?お客さん、お酒も飲んでないですよね。」と言うとそれを聞いていた女性達も「飲んでないんですか?」と目を丸くする。 近藤は「水頼んでるでしょ?水道水はただでしょ?それに、探偵って言ったらピーナッツでしょ?俺ね、探偵やってるんだよ。」とその女性達に言うと女性が「そうですか!でも、人のですよね。ピーナッツ。」と言うと近藤はまたしても、そのお客のピーナッツを一粒頂いて「だから....美味しいのさ!」と溜めてから言うとその女性達は「キモ!この河童!行こ!」と言ってカウンターにお代をおいて二人去って行く。 マスターは「すみませんでした。」と謝っていた。 それを見ていた近藤は「イヤー怖いね。可愛い顔してさ。」とまたしても水をのんでピーナッツを一粒つまみ「うわー染みるね。」と言う。 マスターは「お客さん!いい加減にしてください。これ以上何かやると出禁にしますよ。」本当に怒った顔と声で言われたので近藤は「まぁまぁ」と手を上下にするジェスチャーをした。
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