第1章/キセキは8年前に起こった

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第1章/キセキは8年前に起こった

その1 剣崎 「倉橋‥、鹿児島ミカを呼び寄せることになった。来週、こっちに着く」 「ほう‥、ミカがですか…。会長が亡くなったってことでですか?」 「ああ。もう死期が近いかなって先月末に連絡したんだが、南米で請負いがあったそうでな。すぐには戻れなかったようだ。…会長も、あの女には会いたがっていた。出来れば、間にあって欲しかったがな…」 「ええ、残念でした…。ミカもさぞかし再開したかったでしょうに…」 倉橋のヤツ…、何とも気の毒そうなって表情を浮かべていたな 「…当面はお前に預ける。ふふ…、仕事ならいくらでも出てくるだろうからな、これからは…」 「わかりました」 そして、その4日後… 腕利きの”女スナイパー”鹿児島ミカが帰国し、ヒールズに到着した… ... 「親分…、ご無沙汰です。この度は相馬会長がお気の毒なことで…。お悔やみ申し上げます」 「ああ、久しぶりだな。会長もお前にはもうひと目会いたかっただろうが…。あの人は最後まで”そのまんま”だったよ、ミカ…」 「そうですか…。明日にでも墓前に参ります」 「疲れてるところすまんな。オヤジも喜ぶだろう。…とにかくかけてくれ」 ミカはカウンターにかけ、俺はその左となりに腰を下ろした 横から見ると、やや痩せたかな… でも相変わらず、”この世界”を渡り歩いている殺気は漲っている いや‥、近くにいると、ますます凄みを増したのが伝わってくるわ まだ20代なのに… ふう‥、今さらながらだが、因果な”職業”に辿り着いたもんだ… ... ミカとは2年ぶりだった この女は腕の立つ”潜入型”スナイパーで、以前にも1年ほど相和会が雇っていた 銃の腕前は一級品で、投げナイフも使う そして…、この女には、もう一つの”武器”があった ミカにはその”武器”を、”違う”世界で使ってほしいと願っていたのだが… ”ある理由”から、はっきりとは言えないでいた… だが、今回の滞在中にはタイミングを見計らって切りだすつもりだ 俺の願いを…
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