33人が本棚に入れています
本棚に追加
「あーあっ、つーまんねーっ!」
むしゃくしゃしていたソラは、誰でもいいから驚かせてやろうと山を下りました。山のふもとには、人間の住む村があるのです。
村と山の境界辺りに来ると、人間の匂いがします。近くに誰かがいるみたいなので、ソラはこの人間を驚かせてやろうと茂みに身を隠したのです。
そっと様子を窺うと、怖そうな人間の大男の姿が複数見えたので、慌てて顔を引っ込めました。
人間たちに捕まっては、悪戯を咎められ折檻(お仕置き)されてしまいます。
「よーし、ここなら見つからないぞ。鬼が出るという噂のふもとなら、誰も来ないだろう」
「掘れ。掘れ。たんと掘れ。金銀財宝、眠らせろ」
「ほとぼりが冷めたら、堀りに来よう。この事は俺たちだけの秘密だぞ」
何と! 内緒話をしていたのは悪い人間たちでした。見た目も怖そうです。頬に傷があったり、人相も悪そうです。彼らはきっと、盗賊の一味でしょう。
この所、村では盗賊の被害に遭うと専ら噂でもちきりでした。悪戯が成功しなくなったのは、村の外を歩く人間が減ったからという理由があったのだ、とソラは考えました。
悪戯の邪魔をするなんて、何て悪い人間だ!
懲らしめる為にも、盗賊の宝を自分が盗ってやろう、と。
大急ぎでソラはライを呼びに山へ戻りました。そして今見た事を兄に話しました。
最初のコメントを投稿しよう!