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「そいつは一大事だ! すぐに盗賊の宝をオイラたちが盗ってやろう」
二匹はさっきの場所まで戻りました。盗賊たちはもう居なくなっていましたが、代わりに五歳くらいの女の子が木の陰に隠れて泣いていました。髪はおかっぱで、赤い着物を着た可愛らしい子でした。
「どうしたの?」
二匹が声をかけました。
ひっく、ぐすん、女の子は泣き止みません。
「泣かないで」
ひょっとこじじいの変な顔でライが腹踊りを始め、ソラも負けじとおかめの顔で腹踊りを始めました。
「きゃはは」
泣いていた女の子が笑ったので、二匹は嬉しくなりました。
「オイラ、ライってんだ。こっちはソラ。人間、名前は?」
女の子を怖がらせないように、ライが優しく声をかけました。
「すずだよ」
「すずか。いい名前だな! よし、一緒に遊ぼう」
ソラが笑いました。するとすずも、つられて笑いました。
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