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「百合って百に合うって書くでしょ? その合うのところを愛にして、百の愛が籠もってます。っていうのが、百合の花言葉なの」
と言いながら、彼女は私に白い百合の花束をくれた。
私はそれを受け取って「そういうことだからっ!」と手を振りながら去っていく彼女を眺めながら、物凄いデタラメを言い切ったものだなぁと感心していた。
*
白い百合の花言葉は「純潔」とか「純粋」とかだ。
百の愛ではない。
そういう意味を込めたのは彼女自身。
ついでに彼女は、そこに女性同士の恋愛的な要素もプラスしていた。
百合は何故に百合なのか? 一説によると男同士の恋愛を薔薇で赤色に喩えた際に、女同士を白に喩えて、それで百合になったという……。
つまりは白い花束を渡すというのは告白の隠喩であり、それを受け取ったという事は告白を了承した。という事になるのだろう。
……とはいえこれは全て私の想像であり、もしかしたら違うという可能性もある。が、ここまで深読みしていて違ったらとても恥ずかしい。
ああもう。どうしてあんなのを好きになってしまったのか……。
明日からどういう顔で会ったらいいのだろう。
とかなんとか、百合の香りを嗅ぎながら、私は色々と考えこんでいるのだった。
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