たとえそれがどんな罪だとしても、僕は君を

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 自分に向けてさらけ出される独占欲がもたらす快感に、身体が震える。  言葉もなく恋人を見返したハツキにテレーズは笑いかけ、額をこつんと合わせてきた。 「おまえだって、嫌じゃないだろう?」  そう言って、片足をハツキの太ももの間に割り入れて来る。  嫌なはずはない。許されるのであれば、彼の何もかもをも自分のものにしてしまいたい。一片たりとも他人に渡したくはない。  内ももに感じる彼の素肌に、疼きが増す。  ──この人が、欲しいんだ。  どれだけ言い訳をしたところで、この疼きには抗えない。  こうやってまた一つ、罪を重ねる。  欲望にひくつく喉を唾を飲み込むことで誤魔化し、ハツキは目を上げて答えた。 「……そうだよ。でも」  そこで言葉を切ると、ハツキはテレーズの肩に手をかけて彼の身体を押し上げた。  ハツキの意外な行動にテレーズは眉を上げたが、されるがままに身体を起こすと、ハツキの横に胡座をかいた。  ハツキも起き上がると、彼の膝に手を置いた。そして彼に顔を近づけ、若葉色の瞳を見据える。 「そういうの見たいのが、自分だけだと思わないでよね」  一瞬驚いた表情を見せたものの、すぐに気を取り直したテレーズは余裕の笑みを見せてきた。  万事において、世事に疎い自分よりも彼の方が長けているのは事実なのだが、こういうところは大変癪に障る。  ふいとテレーズから視線を外すと、ハツキは身をかがめた。  邪魔になる前髪を右手で耳に掛けながら、金の茂みの中で半勃ちになっているテレーズのペニスを口に咥える。  その瞬間息を飲んだテレーズに溜飲が下がる思いをしながら、口に含んだものを、舌と唇をゆっくりと上下させて舐めていく。  ハツキの動きに、テレーズのペニスも反応し、すぐに大きくなった。  テレーズが声もなく満足げな息を洩らす。  その息音、ハツキの黒髪を掴む手、そして彼のものを舐めながら上目遣いに見上げて目にする、ハツキが与える快感に目を細めるテレーズの姿に、身体の奥から更なる悦びが沸き上がってきた。  口腔全体に感じるテレーズのペニスの味や、嗅覚を刺激する彼の体臭に、感覚もまた痺れてくる。  身体中全てが彼のことだけで占められる。彼のことしか感じることが出来ない。
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