幸福を感じて

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 尋政の記念日は俺の記念日でもあるから、ちゃんとした写真を残したい。照れくささを感じて微笑みながら、俺は心の中でささやかな幸せを感じた。  シャッター音が鳴ると、スマホに映っていたのは微笑む恋人同士だった。 「良い写真だな、後でメールで送る」 「ありがとう。じゃあ奥に進もう。もっと尋政に紹介したい所がいっぱいあるから」 「それは楽しみだ」  始まったばかりのデート。周りに居る他の人間が気にならない程、この時間は特別だった。  ─ ─ ─ ────  バイキングレストランでそれぞれの好みが出る食事をして、漫画用に建物等の写真を撮って。それから…… 「うわっ、待って速っ!!」 「っ」 「ぎゃあぁぁぁぁっ!!」  コースを猛スピードでグネグネ進むジェットコースターに二人で乗り込んだ。俺は涙目になりながらかなり叫んでいたが、隣の尋政からは叫び声ひとつ聞こえない。怖過ぎてビビっていたのかと思ったけど、終わった後。 「……もう一回乗らないか?」 「えっ!?」 「もう一回」  彼は初ジェットコースターが余程お気に召したのか、数種類のジェットコースターを計五回乗った。乗り終わった後の俺はヘロヘロだったのに、彼の目はとてもイキイキしていた。 「何が楽しいんだと思っていたが、乗ってみるもんだな」 「尋政があんなにハマるとは思わなかったよ」  休憩にパーク限定のフルーツティーを手渡してくれた尋政と、隣同士でベンチに座った。フルーツティーの甘みで、さっきまでの刺激的な疲労が引いていく。 「俺も絶叫系は嫌いじゃないけど、あんなに乗ると結構きついかも……」 「そうか? 俺はすごく爽快だったが。お前には無理をさせたみたいだな。音富はここでしたい事はないのか?」 「したい事か……あ、葉街さん達にお土産買って帰りたいかな」  お土産屋が目に入ってその方向を指差せば、尋政は怪しむように目を細めた。
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