雪の四月朔日

3/16

17人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
 テレビに映った雪をかぶった赤い鳥居。  その奥に交番の赤いランプが映り込む。 「どうやら、稲荷神社公園で間違いなさそうですね」  交番の看板には『稲荷神社公園前交番』と書かれていた。  一瞬でそれを確認した八雲は、リポーターの声に耳を傾ける。 『本日未明、茨城県内にあるこの公園内で、制服姿の女性の遺体が発見されました。遺体は身体の一部が切断されており、警察では身元の確認を急いでいます』  身元不明の切断遺体というショッキングなニュースに、花怜は息を飲む。  制服姿と言うことは、中学生か高校生だろうか? 「嫌な事件ですね」  花怜がそう呟いたとき、来客を知らせるインターホンが鳴った。  八雲が画面を確認すると、マンションのエントランスにスーツ姿の男性二人が映っている。 「どうやら、私も事件に呼ばれたようですねえ」  そう呟き、八雲はエントランスのキーを解除した。  スーツの二人組、眼鏡をかけている方の男が頭を下げる。  画面に映った彼の顔を確認した八雲が、来客を迎え入れるために玄関へとむかう。  程なくして、ドアホンが鳴った。 「どうぞ」  玄関先でする話ではないと察した八雲は、二人をリビングへと招き入れる。  眼鏡の男は、茨城県警捜査一課所属の刑事、鳴神(なるかみ)恵愛(あやめ)。  もう一人は、鳴神の部下である刑事で若林(わかばやし)と言う名前だと八雲は記憶していた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加