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稲荷神社公園は、八雲の住むマンションから車で十五分ほど離れた所にある。
運転席に若林、後部座席に鳴神と八雲が座った。
「今わかっていることをお伝えしますね。被害者の死亡推定時刻は本日零時頃。死因は恐らく、頚部圧迫による窒息死。遺体は死後数時間経ってから切断されたようです。その為、出血も殆どありませんでした。詳しくは司法解剖待ちです」
車内で鳴神から事件に関する情報を聞いた八雲。
それから現場の公園に着くまでの間、窓の外の景色を眺めていた。
雪景色の中に現れた赤の群れ。
白く染められた公園に群がる赤は、パトカーの赤色灯だった。
複数ある公園の入口は全て黄色いテープで封鎖され、制服警官が立っている。
雪の中テレビ局のカメラマンや、野次馬が遠巻きに公園を見ていた。
公園内の駐車場にはパトカーを含む警察車両がたくさん停まっている。
空いているスペースに駐車し、三人は車を降りた。
「現場に案内します。足元、気を付けてください」
駐車場は車や人の出入りがあるためか、雪はあまり積もっていないが公園内の遊歩道はそうでもない。
咲き始めた桜の花びらと共に舞う雪は、パトカーの赤色灯に照らされて赤く染まっている。
「こんなに積もるほど雪が降るのは何年ぶりでしょうか……」
八雲は慣れない雪道を一歩一歩ゆっくりと踏み出す。
茨城県でも県南地域にある学園都市は、冬でも雪がほとんど降らない。
降ったとしても、積もるのは稀だ。
「ここから、遊歩道から外れた道になります」
遊歩道の途中、両側に植えられた低木の垣根が切れた所から、幾つもの足跡が続いている。
それを追うように鳴神たちが先を行く。
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