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「アッシュ、貴方はどうするの?」
アッシュが再び右手を翳すと、二重ドアが閉まり始めた。
「僕は保安要員でもあるんだ。アイランド18を守る。それじゃ後で逢おう」
「えっ? アッシュ!」
私がそう言い終わる前に二重隔壁は完全に閉じてしまった。
私は不安を感じながら閉じたドアを見つめていた。そして大きな溜息を吐くと、もう一度のその部屋の中を見渡した。
ドアの横に制御パネルが在る。私が液晶パネルをタップすると認証画面が立ち上がった。私は右手を翳してみた。現在のACコロニー群の市民は全員が右手の甲にマイクロチップを埋め込んでいて、それで様々な機器の認証が可能となっている。ただ私の権限でここのシステムを起動出来るかは未知数だった。
しかし何とかシステムは認証承認され、通常モードで立ち上がった。メニューを捲ると、ポッド内機器説明、外部監視カメラ、ドア開閉、緊急射出等のボタンが見える。
私はポッド内機器説明を起動させた。そうするとポッド内に格納された様々な備品の収納場所が表示された。
「食料、水、あっ、医療キットも在る」
誰かが怪我をしたら医師の私がサポート出来るかもしれない。
次に私は外部監視カメラを起動させた。カメラを切り替えてアッシュの姿を探す。既に中央港は破壊されており、制御室には血を流した二人の男性が倒れている。私は言葉を失った。
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