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テロ発生
私達が中央港へ続くエレベーターシャフトの入口に戻って来た時に、突然、緊急警報サイレンが鳴り響いた。同時にアッシュの左手に付けている装置が振動し、そこに映された表示を見た瞬間アッシュの顔色が変わった。
「マリー、緊急事態だ! 所属不明のシャトルが中央港に強制接岸して、複数の戦闘員がアイランド18内に入った!」
「えっ?」私は突然事態に衝撃を受けていた。
その時だった。私達が立っている遥か上空、セントラルポートへのエレベーターシャフトの中央で爆発音が響いた。
見上げると三キロ程上空のコロニーの回転中心付近で爆発の煙が上がり、シャフトの構造物がアイランド18内に飛散している。そして、その爆発の中から小さな多数の人影が飛び出したのが見える。その人影はパラシュートを開き、アイランド18の三つの陸に向け降下を開始した。こちらの陸に向けても十人くらいが降下しているのが見える。
それを見上げていたアッシュが私の右手を掴んだ。
「マリー! こっちだ」
彼は私の手を引き、エレベーターシャフトの隔壁左側に在るドアに私を導いた。
「マリー、この中に入って!」
アッシュがそのドア横のプレートに右手の甲を翳すと二重の隔壁ドアが開いた。中は二十畳程のスペースの部屋だった。
「ここは緊急脱出ポッドになっている。アイランド18に深刻な事態が発生したら、自動的に宇宙空間に射出される。暫くここに居るんだ!」
そう言うとアッシュは私を中に押し込み自分はドアの外に残っている。
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