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頭上から聞こえる彼の声。
その言葉が、私の耳に切なく響いた。
(忙しいこと、気にしてるの・・・?)
確かに・・・一緒に暮らしているとはいえ、食事は一人がほとんどだ。
彼は急な呼び出しも多いし、泊まり込みの仕事も多い。
デートの約束がなくなったことも、一度や二度じゃないけれど。
(でも・・・)
「それでも・・・前より一緒にいられるし、そういう直くんを支えたいって思ったから」
もちろん・・・寂しいなって、思うこともあるけれど。
それを乗り越えるくらい、私は彼が大好きだし、結婚できて・・・傍にいられて幸せだ。
「だから・・・後悔なんて、一度もしたことないですよ」
「・・・そっか」
考えるように頷くと、彼は私の頬に手をかける。
その感触に顔を上げると、そのままキスが落とされた。
「ん・・・」
アルコールを含んだ、いつもより熱い、彼のキス。
何度も深く交じり合う感覚に、身体の奥が甘く疼いた。
「直くん・・・」
もっと、そばで感じたい。
彼の首元に腕を回すと、私は、自分からせがむようなキスをする。
「・・・里佳」
とろけるような視線が絡み合い、私たちは数えきれないくらい、お互いの唇を重ね合わせた。
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