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琴吹「……まだ起きてる?」
涼「ん? うん。起きてるよー」
琴吹「その……さっきの……詩方君なんだけど……」
涼「詩方くんがどうしたのー?」
琴吹「いや、そこまで大したことじゃないんだけど……。彼、何者なの……? ……あぁ、いや。何者って言うと大袈裟か。草薙所長から、前もって凄い子だとは聞いてたけど、凄すぎでしょ。なんで見ただけでセキュリティの種類が分かるのよ。それに、構成まで作れるって……」
涼「……。……むふふ。凄いでしょ、彼」
琴吹「見た目的に言えばヒューマンかしら? 角も翼もないし、耳も尻尾もない。腰から刀下げてたから、自身の身体に収納する能力がないと思うから、アボスじゃないだろうし。それに……、……いや、あの種族はすでに絶滅したって噂も流れてるし、目の色も……」
涼「琴吹さん?」
琴吹「……ともかく。見た目的にも15歳は越えてるかしら……?」
涼「あ、うんー。私の三つ上だってー」
琴吹「と言うと、18? ……いやいや、18でセキュリティが作れるって……。凄い人材がウチに入ってきたわね」
涼「んー。彼から聞いた話だと、親代わりの人から色んなことを教わったって聞いたよー?」
琴吹「親代わり? と言うことは……、……そう言うことか」
涼「……。詳しくは彼に聞いてみないと分かんないけど、草薙事務所に来てからは一杯頑張ってくれてるよー。同期として、私も鼻が高いねー」
琴吹「……」
涼「……琴吹さん?」
琴吹「なにかしら?」
涼「いや、何でそんな微笑ましそうにみてくるのかなーって」
琴吹「だって、あなた、彼のことを楽しそうに話すから」
涼「……へっ!?」
琴吹「成る程成る程。そう言うことか。ふふ……。いいじゃないの。ハイスペック同士、お似合いだと思うわよ?」
涼「あの……っ! その……っ! えと……っ!」
琴吹「彼とはまだ?」
涼「その……、……私の片想い……です……」
琴吹「あら、てっきりもう付き合ってるのかと」
涼「ま、まだだよぉ……! 好きだって自覚したのも……結構、最近だし……」
琴吹「そうなの? なにかきっかけとかあったの?」
涼「きっかけは……沢山あるの……。初めは、なんか雰囲気が弟に似てるなーって思った所から始まって、そこから……色々と助けて助けられてを……繰り返していって……。それで……気付いたら……そうなってたの……」
琴吹「そっかそっか」
涼「うぅー! 恥ずかしいよぉ……!」←真っ赤な顔を布団で隠す
琴吹「あら、別に恋することは恥ずかしいことじゃないわよ。私だって現に草薙所長に恋してるし」
涼「琴吹さんのは、大人の恋だもん! それに比べたら、私のなんて、まだまだ子供だよー!」
琴吹「……恋に大人も子供も関係ないと思うけど。でも、そっか。涼ちゃんもついにか。そっかそっか」
涼「……なんでそんな嬉しそうな声出すの?」
琴吹「えー? だって涼ちゃんってば、私にとっては妹みたいなものだし。それに、涼ちゃん、今まで男の子が言い寄ってきても、全く相手にしてなかったから……」
涼「そ、それは……近寄ってくる男の子は皆、なんか軽い感じがして……。それに比べて詩方くんは……その……誠実って言うか、律儀って言うか……」
琴吹「……そうねぇ。……」
ーー行くとこないなら、草薙事務所に行く? 話は私があの人に付けとくからさ。あそこ、ちょうど人手不足だって言ってたし、ちょうどいいかもよ?ーー
琴吹(……少し、あの人に似てたな……)
涼「琴吹さん?」
琴吹「なんでもない。もう寝ようか」
涼「うん。お休みなさい」
琴吹「お休み、涼ちゃん」
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