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華島「ん、来たな」
詩方「すみません。少し、遅くなりました」
華島「いや、時間通りだ。問題ない。では、仕事の説明をさせてもらう。多分、お前も聞いているとは思うが、ここ、草薙事務所は基本的に何でも屋だ。色んな人から依頼が来て、それをこなしていくことが主な仕事だ」
詩方「なるほど……」
華島「草薙所長は顔が広くてな、たまにここではない、違う大陸のお偉いさんからの依頼も来る時もある。……ま、そう言った場合、魔物退治がほぼメインだがな」
詩方「そんな上の立場の方々からも来るんですか?」
華島「ああ。滅多に来ないが、まぁ、年に1、2回はあると思ってくれ」
詩方「分かりました」
華島「それと、名指しでこの事務所の所員に依頼が来る時もあるが……まぁ、お前にはまだ早いな」
詩方「……ですよね」
華島「で、だ。そう言った依頼を請ける際、名指しで来てない場合は、基本的にこちらでどの依頼を請けるか、それを私たち所員は選ぶことが出来る。それを選ぶ場所がここだ」
受付の人「ここですね」
詩方(あ、さっきの人……)
華島「名取(なとり)。今日はどんな依頼が入ってる?」
名取と呼ばれた受付の人「はい。ちょっと待ってくださいねーっと。今だと……あー……」
華島「どうした?」
名取「あるにはあるんですが……、ちょっと……」
華島「見せてくれ」
名取「はい……(スッ)」
華島「ふむ……。魔物討伐か……」
名取「はい……。討伐する魔物は、ブラックベアー。名前の通り全身黒く、全長2メートルは越える大きい獣型の魔物です」
詩方「ブラックベアー……。……厄介だな……」
華島「なんだ、知ってるのか?」
詩方「あ、はい。故郷にいた時に、本で知りました。何でも、その巨体を活かした体当たりや、伸縮自在の手の爪が脅威と。また、その爪は凄まじく硬く、その上切れ味は抜群とも記憶しています」
名取「……仰る通りです」
華島「だが、所詮はただの身体の大きい魔物。油断しなければどうと言うことはない」
詩方「……。名取さん」
名取「はい」
詩方「今日来てる依頼は、これだけですか?」
名取「はい……。後は秋宮さんと姫野さんがそれぞれ請けて、先程、出掛けられましたし、今日はこれが最後の依頼になります……」
詩方「そうですか……。華島さん」
華島「どうした?」
詩方「俺たち二人だけで、ブラックベアーを討伐するつもりですか?」
華島「いや。僕だけだな。さすがに今日入ったばかりの新人のお前には、任せられん。……お前がどんな流派であってもな」
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