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詩方「……決して、あなたの力量が低いと思って、これを発言する訳ではありませんが、ブラックベアーはずる賢く、統率力にも優れています。二体以上いたら、連携を組んで敵を倒すとも聞いています。最低でも、もう一人、連れていくべきでは?」
華島「……お前……僕がブラックベアー如きに負けるとでも思っているのか……?」
詩方「そう言うつもりではありません。ただ、俺は……」
華島「臆病者は黙っていろ!」
詩方「……っ!」
華島「……それに、腕利きの奴らは何人かこの事務所に所属しているが、その人たちはほかの依頼で、まだこちらに帰ってきていない。そうだよな? 名取」
名取「は、はい……。兵藤(ひょうどう)さんも、皇(すめらぎ)さんも、まだ帰ってきていません……」
華島「それに、秋宮さんや姫野さんも、ほかの依頼で出掛けて、今は僕しかいない……。僕がやるしかないんだよ……!」
詩方「華島さん……」
華島「名取。ブラックベアーの出没場所は?」
名取「はい……。ここから南西の方角にある天狼山(てんろうざん)に出没したそうです。被害はまだ出ていませんが、恐らくそれも時間の問題かと」
華島「分かった。……それで、どうする? 怖いならここで待っていてもいいが?」
詩方「……。……俺も行きます」
華島「……ふん。なら、せいぜい、僕の足を引っ張らないことだ。それと、自分の身は自分で守れよ。その刀が、お飾りではないならな」
詩方「……っ……。……俺は準備をしてから行きます。先に行っててもらえますか?」
華島「やはり怖いのか? ……ま、何を準備するかは知らないが、お前が来る頃にはもう終わっているだろうがな」←そのまま事務所を出ていく
詩方「……」
名取「……あの……詩方さん……」
詩方「……何ですか」
名取「その……あの人のこと、悪く思わないで下さいませんか……? あの人にも色々とあるみたいで……」
詩方「なんとなく……そんな感じはしていましたが……、……いえ、これは後でもいいですね。名取さん」
名取「はい、なんでしょう?」
詩方「教えて欲しいことがあります」
名取「私が知ってることで良ければ……」
詩方「良かった。実はーー」
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