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極楽鳥(日本語版)
亡くなった祖父から聞いた話。
ある朝、用を足そうと起き上がると庭でガサガサ音がする。
目を凝らすと朝もやのなか、極楽鳥が数羽集まり、雑草をついばんでいるではないか。
思わず「あっ」と小さな声で叫んだ。
するとその中の一羽が祖父を見て、こう言ったそうだ。
「黙っていよ。いずれまた会うだろう」
極楽鳥の声は高く澄んでいたという。
あれ以来、祖父はどうも鳥が苦手で仕方なかったらしい。
南方出征の経験がある祖父は、極楽鳥が言った通り、再会を果たした。
一度目は中庭で、黙っていよと口止めされたとき。
二度目は戦友のなきがら、動かぬ彼のかたわらで。
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