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討伐対象詳細
この忌避される依頼で、仕留めるドラゴンの名は、ドラゴンメイド。
天使ミカエルと戦った伝説のドラゴンと、同格とされるドラゴンだ。
それを、生死問わず仕留め、奪われた聖剣を持ち帰ること、それがこの依頼の達成条件だ。
百数十年前の、唯一の戦闘記録から引用すれば、彼女、ドラゴンメイドは、第五元素は扱えないものの、四大元素全てを従えていたらしい。戦闘時には常に雷雲とともにあり、人の身では、まともな状態で対峙することは叶わなかったとのことだ。
また、彼女は「Lady of the land(女王の島)」と呼ばれる島を住処とし、何人もその「家」に入ることは許されなかったし、その島から彼女が出ることは決して無かったそうだ。
さらに記録には、絶望的な記載がある。
当時の屈強な108の狩人と、その数と同じだけの聖剣による大規模討伐作戦が実施された記録だ。これによれば、雷雲だけでその9割の戦力を喪失し、生き残った十数名は傷一つ付けられず、聖剣とともに殉教したとある。余談だが、殉死ではなく、殉教。教会の教え(命令)を遂行する最中に亡くなったものは、こう表現される。
残ったのは、島の対岸に突き刺さった、聖剣一本。
つまり、当時の教会最高戦力で挑み、完全敗北したのだ。
報復として「家」から彼女が出なかったことは、不幸中の幸いだっただろう。
完敗の後、島は全てを洗い流す豪雨と雷雲に包まれ、聖剣回収はおろか島に近づくことさえできなかったという。
この騒動により、一本の聖剣以外、その全てが失われた。
聖剣とともに、失墜した教会の沽券を取り戻す、依頼の裏の目的だったりする。
なお、彼女に「メイド」と付けられているのは、島の元々の持ち主である、伝説のドラゴンに仕えていたからとされている。一説には、彼女が、身にまとう雷鳴以上のおたけびとともに自ら名乗った、とも言われているが、それこそ、定かではない。
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