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「生きていれば、それでいいよ」
片ひじを船のふちに置き、その手に顔を乗せ、そっぽを向き、ため息交じりに、彼女、「ドラゴンメイド」はそう呟いていた。
幸か不幸か、彼は彼女の、人の間で伝わる名前を知らなかった。
だからこそ、彼女と彼の話は、微妙に食い違う。
そして、今回の依頼が、すでに達成間近であることも、彼は気づかない。
生死問わず仕留め、聖剣を持ち帰る。
すでに、彼女(の胃袋)は仕留められている。
すでに、彼女から(聖)剣を持ち帰る許可が下りている。
あとは、約束を果たし、聖剣を持ち帰るだけが、彼の役務だ。
以上が、名もなき「不死」が英雄になる直前のお話。
彼の持つ刀が禁忌兵器となる話や、彼が「不死」から「ドラゴンキラー」と呼ばれるようになるまでの英雄譚や、別の意味での「ドラゴンキラー」となる彼女とのラブロマンスは、また別のお話。
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