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依頼概要
ドラゴン。
知らぬものはいない、モンスターの頂点だ。
四大元素を操り、天候さえも自在に操る。百の兵士や千のモンスターは、ドラゴン一体に簡単に滅ぼされる。
その中でも、第五元素、天界の物質エーテルを従えた伝説のドラゴンは、敗れはしたが、天使ミカエルと互角に戦った記録が残されている。
そんなドラゴンと、人の身でありながら、単身で勝利した勇猛なドラゴンキラーもいた。
名はゲオル卿。
毒の一息で、あたりを地獄となす彼の竜を、後の名槍、ゲオルの槍で一突きに屠った歴戦の猛者だ。彼の英雄譚は、今でも枚挙にいとまがない。
ただし、1000年以上続く、モンスターと人との交戦において、この英雄以外にもドラゴン討伐の「噂」はある。しかし、真偽不明のため、その噂は噂のままだ。語り部が口にする全ての英雄は、すでにこの世にいないから、証明が出来ない。
そんなドラゴンを仕留め、奪われた宝を持ち帰ることが、今回私が受けた依頼内容だ。
参加した人数によらず、各々に、城が二つ買える額の報酬が与えられる。
また、大抵のドラゴンと互角に渡り合える、聖剣やゲオルの槍といった、禁忌兵器の使用も可である。
さらに、それらを含め、使用した武器の費用は、報酬以外に別途支給される。
その他、通常の依頼であれば、絶対に含まれない、特別な条件がふんだんに書かれた依頼だ。
これは、数千のモンスター討伐であっても、お釣りがくる上に、たった一人で達成できる条件である。報酬で依頼を選ぶ教会のベテランが、逃すはずのない魅力的な依頼だ。
だが、教会が依頼として出した時から、今の今まで百数十年間、誰一人としてその依頼を達成でていない。受けていないだけかもしれないが、その結果、功名心豊かな駆け出しであっても、決して冗談でも話に挙げることはない程に、恐れられた依頼となった。
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