不思議なBAR

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不思議なBAR

「え、でも、お金が…」 「安心しな。金のない奴から金を巻き上げることはしないよ。それはワタシのポリシーに反するからね。金のある奴から金を巻き上げる。これがワタシのやり方さ。まあ、そんなことはどうでもいい。もう一度聞くけどね、アンタは何を占ってもらいたいんだい?」 「え、えーと。わ、私は、そ、その。自分の、み、未来を知りたいんです!」立花ユリはそう言うと、顔を赤らめた。 「何だい、お前さんの未来?そんなこと。ワタシが知るわけないだろ」金髪の老婆は立花の言葉に呆れて、鼻で笑った。 「え、でも、占いって、未来とか、将来とかを占ってくれるんじゃ?」 「何で、人の未来がワタシに分かるんだい?ワタシが分かるのは、ワタシが生きてきた中で見聞きしたり、体験したりしたことだけさ。それ以外のことを聞かれても知るわけないだろ」 「え、でも、そ、そんなの占いじゃない」 「何だい?ワタシの占いにケチをつけるのかい?図図しい子だね」 老婆はそう言い終わると、立花から見て左側にあるカーテンによって仕切られた裏手に姿を消した。立花は老婆を怒らせてしまったのではないかと肝を冷やした。このままここにいれば、老婆から何をされるか分かったものではない。高額の相談料をふっかけられるかもしれない。ここは何か適当な理由を付けて帰った方が得策ではないか。そんなことを思案していた時に、金髪の老婆は再び厨房側に戻ってきた。手には掌サイズの水晶玉と水晶玉用の敷布団を持っていた。 「これでアンタ自身に聞きな!」老婆は立花の目の前に水晶を置くと、そう言い放った。 立花は老婆が言わんとする言葉の意味が理解できなかった。 「どういう意味ですか?」
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