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「芽衣ちゃーーーーん、待ってよ~!!」
いつもより10分早い時間に家を出た私の名を呼び追いかけてくるのは。
「…、おはよ、麻生くん」
無表情のまま振り返って麻生くんに聞こえるくらい大きなため息をつくと。
「どうしたの?芽衣ちゃん、具合悪い?朝ご飯ちゃんと食べた?」
何て全く見当違いの心配に更にため息が出る。
「麻生くん、私さ、昨日話したよね?」
え?何?て首傾げてるけど。
大事なお話だよって、そんでもって麻生くんは、わかったよって天使のような笑顔を浮かべてくれたじゃない。
「え?!わかったって、言ってたよね?わかったって言ったなら何で一緒に登校しなきゃならないの?!」
つまりは、こうだ。
身長178センチ細身の色白美少年。
将来有能であるピアニスト、頭脳明晰、だけではなく運動神経だってほどほどに良くて。
誰にでも人当たりはよく今どきの高校生でありながら下ネタの一つも言わない。
謂わば我が校の某銀盤の金メダリストのような完璧イケメン様。
一方その隣に住む、どこにでも居るだろう、標準身長、標準体重。
おまけに可愛くも美人でもない普通の顔した頭脳も運動神経も中の中で特に取柄もないパッとしない女子。
漫画の世界であれば完璧なヒーローと通りすがりの町人Aなほど接点無さそうな二人が。
幼馴染なのは本当に残酷な話である。
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