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「ごめんね、芽衣ちゃん、オレのせいで」
そう言って麻生くんは私の短くなったポニーテールを触る。
「キレイな髪の毛だったのに、本当にごめんね」
うん、ちゃんと理由もわかってるし昨日の話もわかってはいるようだ。
昨日あの後、あったこと全て話した上で真剣に麻生くんにお願いした。
『もうね、あんな怖い思いをするのは嫌なの、麻生くん、私に近づかないで。幼馴染、止めよう』
そう言った私にキョトンとした顔をして、それからしばらくしてニッコリと笑って。
『わかったよ』
うん、昨日そう言ってたよね?
なのに何故近づいてくるのか?!
「髪の毛なんかまた伸びるから麻生くんは謝らなくていいけどね、たださ、そろそろちゃんと自覚して」
いつもより早めに出たのもあるし、と近くの公園のブランコに並んで腰かけてきちんと話し出した。
「自覚?」
首を傾げて私を覗き込む麻生くんに頷く。
「そう、麻生くんは人気者なの、皆麻生くんが好きなの、だからね、幼馴染の私は目障りなのね、だから一緒にはもういられないの」
お願いだから何度も言わせないで、さよならの言葉みたいで私だって苦しくなっちゃう。
「それはわかった、もう理解したよ」
小さなため息をついて肩を落とした麻生くんは切なそうな横顔を見せた。
「芽衣ちゃんはオレのことが嫌いで離れるわけじゃないんだよね?」
「…うん、」
「オレはさ、芽衣ちゃん大好きなのに離れろって言われてるの、傷ついてるのわかってる?」
麻生くんは私を見て悲し気に微笑んで、それから。
「芽衣ちゃんの望みだから仕方ない、幼馴染としては離れてあげるけど」
麻生くんの瞳が切なげに揺れて、あ、泣いちゃう、と思った瞬間、ニッコリと笑って。
え?笑った?!
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