決着

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決着

「あはははははははは!」デーモンは笑いながら、鉈を投げて手ぶらの道葉に走り寄る。慣れない日本刀の重さに少し揺らぐデーモン。その隙を逃さず道葉はデーモンから距離を取る。「手斧の方が良かったかなぁ?」デーモンはそんなハンデすら楽しそうだ。道葉は素早く回り込んで鉈を拾う。「おぉい!金槌君も出てこいよ!」デーモンが叫ぶ。しかし返事は無い。デーモンが異変に気付いた頃には遅かった。静まり返るフロア。聞こえるのはデーモンの悦び嗚咽だけ。デーモンは二人を見失った。デーモンはぶらんと腕の力を抜く。コツ コツ コツ 「ハハ良いね、今度は俺が狩られるって訳だ」コツ コツ コツ 「この裏かなぁ?」 ダァン! デーモンがフロアの案内板を斬る。「違ぁう」コツ コツ コツ 「ここ?…でもない」コツ コツ コツ コツ コツ コツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツコツ 「ぁあああはぁあはっはっはっはっ!そうかいそうかい、そうなのかい!」デーモンの怒声がフロアに響く。当然隠れている二人にも嫌というほど聞こえている。尾道と道葉の作戦は、デーモンが二人の間へ来たとき両方から叩くという作戦だった。尾道と道葉は離れた場所にいて同じ事を考えていた。今のデーモンにこの作戦は通用しない。道葉が立ち上がる。「なんだあ?かくれんぼは終わりかよ」デーモンは定まらない足付きで道葉に近づく。「死ね」デーモンが日本刀を振り上げると同時に道葉は横に飛び退ける。空を斬る日本刀。「なんだよまた逃げんのか?」「逃げたんじゃない。誘導したんだ」デーモンの後ろには手斧を構えた尾道。「やるじゃん」 ぶすり 刃が脇腹を刺す。デーモンが隠し持っていたナイフの刃が。尾道の手斧は柄をデーモンが押さえている。尾道が呻いて一歩下がる。「さすがに油断しす めきょ 道葉の鉈がデーモンの肩に入り込む。「またかよ」同じ場所を二度割られれば鎮痛剤があろうと、 ぶらん デーモンの腕から力が抜けた。「は?」「うぅわああああ!」絶妙に情けない叫び声と共に尾道が手斧を振りかぶる。 ざくり デーモンの太ももから血が吹き出る。 どさり デーモンが倒れる。 どさり 尾道が崩れ落ちる。「尾道さん!」道葉が駆け寄る。「なんか、ダメっぽいなぁ」尾道が笑う。そんなこと無い。と道葉は言えない。暗くても分かる。とてつもなく出血している。ズボンまで赤い。「俺も、ダメっぽい」二人の後ろには身体中から血が吹き出るデーモン。手には日本刀。「まじかよ」道葉の頭へ刃が降りる。 刃が当たったのは、咄嗟に前へ出た尾道だった。「コンプリート、ならず…ハハ」今度こそ本当にデーモンは地に伏した。パーティー会場の方から騒ぎ声が聞こえる。二人が疑問に思う前に二人に銃を向けたのは、武装した警察だった。
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