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「ねえそんなことより、どうこれ?」
「えー?おれあんま写真わかんねえよ。」
「でもわたしの写真好きって言ってくれるじゃん。」
「おれはお前が好きだよ。」
「うわ!なに今の!キュンときた!」
カメラからこちらに視線を移し驚く彼女にまた笑みが零れた。
一々、かわいい。彼女の頭に手を回せば、真剣に考えてよ、と不貞腐れる彼女がかわいくてまた、笑ってしまった。
「はいはい。で?どれよ。」
そう言って彼女のカメラを覗き込む。
「わ、なに今の!ちょっとかっこいいんだけど。」
「うん、お前のほうがかわいいよ。」
「キュンッ。」
「そのキュンッて言葉でいうものなの?」
「言葉にしたほうが伝わるかと思って。」
んふふ、と彼女が笑う。
彼女からカメラを預かりいくつかの写真見る。
いいも悪いも、ピーマンと海というのがアンバランスというかシュールすぎて正解がわからない。いや、そもそもこれに正解はないし、写真というものに正解なんてないのかもしれないと思った。
「なんつーか、ピーマン、ていうか野菜って太陽が似合うよな。そのほうがよく育つし。まあそうじゃない野菜もあるけど。」
「つまり?」
「陽の光っていうの?それがよく写ってたほうがピーマンが美味そうに見える。海もそのほうがきれいだし。」
「へぇ〜、まともなこと言うねえ。」
珍しっ、とニヤニヤする彼女。
恥ずかしくなって、おい、と彼女の頭を突けば、わーこわーいと笑いながらまたピーマンの写真を撮りに戻った。
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