Prologue

3/9
前へ
/228ページ
次へ
一番困り果てたのは、栞だ。 ご近所さんたちの、冷ややかな中にも好奇心に満ちた眼差しに辟易するのもあるが。 (ちなみに、彼らから面と向かって父たちのことを尋ねられることは絶対に(・・・)ない) ……やっぱし「新婚さん」と一緒に暮らすのは、きっついわぁ。京都を離れて神戸に行くのもイヤやし。 今東京に住んでいる姉の(やや)とその婚約者とならまだしも、父親と(友達とはいえ)ものすごく若い新妻となのだ。 もし、目の前でイチャつかれたりなんかしたら、目のあてようがない。 もちろん、父の(たくみ)は娘の前でそんな素振りを見せはしないが、やはり結花からはそこはかとなく「気配」が漂ってくる。 オンナっていうのは、好きな男ができれば、友達なんてどうでもよくなるものだ。 ……それに、結花はまだ知らへんのやろうけど。
/228ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5436人が本棚に入れています
本棚に追加