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紫陽花と花言葉
今日も好きなツイートにいいねボタンを押す。
花が好きな私はとある人のツイートを確認することが日課になっていた。
「今日は紫陽花だ」
まだ梅雨になるには早いので過去の写真か花屋で撮ったものだろうか。
姉からプレゼントされた花言葉bookを開く。
冷淡。
高慢。
移り気。
白い紫陽花なら寛容の意味を表すらしいが、私は青紫色の方が好きだった。何故こんなに綺麗なのに素敵な意味ではないのだろう。
雨に似合う色合いで、小さい頃は傘を差しながらよく観察したものだ。
「雨のち晴れさん、こんにちは。とても綺麗な紫陽花ですねっと」
花の画像をツイートする雨のち晴れさんにコメントを送る。
『こんにちは、雨宿りさん。コメントありがとうございます。僕は一番紫陽花が好きです』
「そうなんですね!私も紫陽花好きです。花全般が好きで花言葉も調べたりします」
『へえ〜!紫陽花の花言葉は何ですか?』
手が止まった。
好きだと言う人に良くない意味の花言葉を伝えるのはどうだろうか。言葉を濁そう。
「白い紫陽花だと寛容という意味です。実は青紫色はあまり。すみません」
『謝らなくて大丈夫ですよ(^^)寛容とは素敵な意味ですね。時々花言葉が良くなかったり、色で意味が違ったりしますけど僕は気にしていませんよ。大事なのは自分がどう思うかですから』
そういえば、同じことを言った人がいた。
「確かにそうですね。私がよく買う花屋のお兄さんも同じこと言っていました」
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
花壇が寂しく何か育てられないか花屋で見てみようと訪れた時の話だ。
「紫陽花、きれい」
小さな紫陽花がちょこんと置かれており、売られているというより守り神みたいに感じた。
「紫陽花どうですか?」
「可愛いですよね。僕のお気に入りです」
「でも、花言葉が」
「花言葉が好きな学生さん多いですね。来てくれるお客さんの中でもとても詳しい方がいらっしゃって」
「それならこの紫陽花」
「売れ残ってしまうかもしれませんが、僕の特に好きな花なのでいいかなって」
「あまり気にしないんですね」
「まあね。紫陽花って土がアルカリ性か酸性かで色が変わったり、こんなに綺麗でも葉に毒があるものもあって」
「毒⁈」
「そうだよ。推理小説でも死体が近くに埋められたら紫陽花の色で分かるとか。でも、あんなに綺麗な桜だって下に死体が埋められてるって言われたり、あっ、こんな話は嫌だよね」
「ふふっ、面白い考えです」
「結局言いたい事は、どんな花言葉が付いていてもその花が好きなら特に気にしなくていいかなって」
前向きで明るい店員さんは今どうしているだろうか。
今は外に出ることが出来ずにいるが、またあの花屋に寄りたい。
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