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この事件の鍵を握っているのは早苗だ。華と凛々花と同じクラスの。
早苗はいじめにあっていた。
さっき飛んでいった早苗の教科書には「ビッチ」だの「スケベ」だのと書いてあった。
もしかしたら標的が早苗から華に移行したのかもしれない。
カランカラン言ってる電話機。
もうお前も用無しだなぁって思いながら親機を手にとってみる。意外と軽い。ハードカバーの本と同じ位のサイズで、声を伝えるだけだから、こん中に言葉は詰まってない。だから軽いのかな……
ってよく意味わかんない事考えて、見るとダイヤルボタンの上に、数件の連絡先メモが貼り付けてあって、それを見てピンとくる。
『館林税理士事務所03-☓☓☓☓-☓☓☓☓……河森歯科クリニック……』
おお!これは。
さっき見た凛々花のお母さん。
どこ?!
上にまだいるはずだけど、至るところでいろんな物が回転してるから邪魔でよく見えない。
あ、あれか?……うげぇっ。
ちょー上にいるじゃん!小っさ!
村上さんとまだ喋ってる……
無茶苦茶小さな点にしか見えないけど、多分あれだ。
どうするか……
しゃーない。
ありあわせでまたフライングカーペット作るか。
作り方は簡単なんだが、物を集めるのがめんどい。
近くにソレらがあるか周りを見渡して探す。
ちょうど手頃なところに二つともあった。
よしよし、いいぞ。
バフンッ。ばばばばーーって風を受けて網戸に包まった布団カバーに乗って、四つん這いでしがみついきながら上昇してゆく。
みるみるおばさん達に近づいて──って!
行きすぎた!
ブレーキないから、えいや!って網戸蹴ってジャイアントストライドエントリー!
ぶぼぼぼぼ、ばぼぼぼぼ……
館林さんと並ぶようにして飛ぶ。
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