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落ちていく私。
私だけじゃなくいろんな人や物が落ち続けてる。
私の部屋のベッドやタンスも、クローゼットの中のお気に入りの洋服達もみんな。バラバラになってしまった家のドアや壁や木材なんかと一緒に上から下へ落ち続けてる。
ウチの冷蔵庫も、テレビも、自転車や車や飼い犬のペルーもリード付いたまま、
ぶばぼぼぼぼぼぉ……
ずばぼぼぼぼぼぉ……
と風受けながら落ち続けてる。
高校数Ⅱと書かれた教科書がパラパラとめくれたり閉じたり回転しながら私の目の前を横切ってく。河森早苗と名前が書いてある。落書きしてある。ペタンと閉じてストン、ヒュッと私より先に落ちていく、まるで生きてるみたいだ。
落ちても落ちても先が見えない。
青い空がずっとずっと続いてる。
だからまだ死んでない。
まだ多分誰も。
死なないのだからまだしばらくは安全なのかもしれない。着地はできてないけど、一先ず落ち着いて考えて、私はスウェットパンツを穿いてるからセーフ。スカートだったらパンツ丸出しで落ち着つかずに落ち続けるところだ。
危ない危ない。
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