デイドリーム・ビリーバー

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事件の内容はこうだ。 5日前の朝8時頃。 同じ都立西荻窪高校へ通う二年生の五十嵐華(いがらしはな)がロープで縛られ、女子の個室トイレに監禁されているのが見つかった。 前日の放課後、犯人は華を殴る蹴るなどの暴行を加えロープで縛り、夜中に南校舎二階の女子トイレへ彼女を連れて忍び込み。バリアフリーの広い個室トイレに外側から施錠して監禁、放置したらしい。 事件の夜7時頃。いつもならとっくに帰宅している時刻を過ぎて、連絡がつかない華を心配した母親は、娘が行方不明だと学校へ連絡する。 その連絡を受けて数名の教員は手分けして学校中を探し、その問題の個室トイレも含めていろんな所を見て回って、異常が無い事を確認している。 どこの個室トイレも施錠されてはおらず、ドアも空いていた。 施錠された個室トイレはなかったのだ。 教員たちは二人一組で行動していた。 見回るルートは特に決まっていなかったから何度かその問題のトイレの状況も確認されている。 だから、教員達のうち誰かの単独犯行。もしくは共犯者の嘘の証言とは考えづらい。 4人の教員がみんな口をそろえて、その個室トイレも他のトイレと同様にドアは空いていたという。 夜10時に一旦学校内の捜索は打ち切られ、警察へ連絡。 翌朝7時45分頃。 問題の個室トイレが施錠されているのを華と同じクラスの村上千恵(むらかみちえ)が不審がって、担任の平松に報告し、スライドドアの鍵を解錠すると、縛られている華を発見したという。 警察は教員らがいなくなった夜10時から翌朝7時頃の目撃情報や関係者のアリバイを調べているらしい。
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