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前々からいじめ行為をしているのではないかと疑われているクラスのリーダー格、館林凜々花と、第一発見者の村上千恵は重点的に調べられたようだ。
両者の犯行時間帯のアリバイはあやふやだ。
無理もない。自宅で寝ている時間帯だ。
風呂に入り、パジャマを着て自室で寝るまで自宅に居たと家族は証言していて、起床も登校時も普段と変わらなかったという。
被害者の五十嵐さんは、今も尚入院中。
打ち身や捻挫程度で命に別状はない。
けれど犯人の名前は口を閉ざしたままだ。
相当なショックを受けていると思われる。
誰にやられたのか?
それがこの事件の焦点となっている。
そして実は、私にこの事件の犯人当てを依頼してきたのは、五十嵐華。被害者本人らしいのだ。
彼女自ら直接依頼しに来た訳ではないから、『らしい』としておく。
同じクラスの沢田瑠海が見舞いの際、私宛の手紙を預かり、手渡された。
瑠海は手紙の内容は知らないと言う。
手紙の内容を要約すると──
自分は後ろから押し倒され、目隠しをされたので犯人の顔を見ていない。
誰が自分をこんな目に遭わせたのか、犯人がわかるまで怖くて外に出られない。
どうか犯人を見つけて、もしわかったのなら、一番最初に教えて欲しいという──
可愛らしい文字で、丁寧な文章が綴られていた。
手紙の筆跡は彼女の持ち物の文字と見比べてほぼ同一人物とみなしていいと思う。
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