デイドリーム・ビリーバー

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まず私が思ったのは死体消失トリックだ。 ミステリーの王道と言ってもいい。 部屋の中にあったはずの死体が、目を離した隙に無くなっているというもの。 犯人は何かしらのトリックで、教員らの目を(あざむ)き、華も犯人も校内に隠れて居たんじゃないかって思う。 そこに居ても、居ない様に見せかける。 死角や錯覚のトリックを使ったんじゃないかなって。 だから予想される犯行時間帯の幅は広がって、アリバイもクソもないと思うのだ。 そして私はそんなトリックに全く興味が無い。 このトリックネタの謎解きはガン無視する。 大体なんでそんな面倒なことしなきゃいけないのよ。いちいち推理するの面倒くさいし、犯人捕まえて直接聞けばよくね? これはもっと単純な事件だ。 いじめたい奴がいじめた。 ただそれだけの事だ。 それが大事(おおごと)になってしまっただけなんだ。 普通に考えて風呂入って寝巻きの生徒が、わざわざ生徒いじめる為だけに深夜に家抜け出して学校行く?マジありえないンですけど。 今回の事件を起こす犯人にとって──ある一人を除いて──どれだけのメリットがあるというのか?リスキーでデメリットの方が大きいんだ。 合理的じゃないのだ。 いじめる奴、悪い事する奴は、ずる賢くて巧妙で頭がいい。 そして保守的だ。 自分の立場が悪くなるような、すぐバレるような事をして退学、もしくは退職に追い込まれるようなことをするはずがない。 犯人の目星はついている。 けれど動機がわからない。
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