デイドリーム・ビリーバー

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ぶばぼぼぼぼぼぉー…… ずばぼぼぼぼぼぉー…… 耳に当たる風の音。 うるさ。 私のTシャツにまとわりついて、突き抜けて、押し上げようとする。 風。風。風。 ……そしてまた風。 今日もいい天気だ。雲一つない。 カラスがものすごい勢いで上昇気流を翼に受けて登って行く。 うわっ危な!ぶつかりそう!って思った瞬間、身を翻して、ひゅいっと二人のおばさんたちをかわして飛んでゆく。 おお!さすが!すご! そんなのも意に介さずに夢中で世間話してる、村上さんチの奥さんと館林さんのお母さんも凄い。風圧に煽られながらゆらゆら右行ったり、左行ったりしながらも起用に上手い具合いに距離とりながら並んでる。 太陽はなぜだか見えない。 そういえば気にしてなかった。 もっと気にする事があって、ツッコミたい事だらけすぎて気がつかなかったわ。 そんで、どれからツッコめばいいかわかんなくなって、一周回ってクソどうでも良くね?ってなる。 右も左も上も下も全部青空なのだ。 360°どこ見渡しても、視界の先は延々と青い空が続いている。 落ちてるんだから上と下の区別だけはつくんだが。 もうずっと2、3日こんな状況が続いてるから、そりゃ、みんな慣れてくる。 環境適応能力が高いんじゃないかな。うんうん。 自由落下しながら自由にしてる。 何物にも束縛されずにただ自由にしてるだけ。 まぁ逆に、自由落下に束縛され続けてはいるんだけどね。
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