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「太陽、おきなさーい、今日から高校でしょ!」
「うるせーな、おきてるよ」
日向・太陽は本日より、高校生になる。
小学生の頃、離れ離れになった幼馴染、花園・咲夜の事は今でも思い続けているが、年月が流れるにつれて、徐々に記憶は薄れていき、顔をはっきりとは思い出せない、見れば思い出せる程度だ。
黄緑の短い髪水色の瞳、その程度しか思い出せない
「咲夜・・・」
あの日もらった白い薔薇の蕾はまだ枯れていないし、蕾のままだ。
高校に着くと自分の教室B組を探す、後から早歩きする足音が聞こえてきた、その人物は太陽を追い越していった、髪はとても長くて、前髪までギリギリ顔が隠れるくらいの長さになっている。一瞬幽霊かとも思ってしまう、しかし、その女子生徒から太陽は目をそらすことが出来なかった。彼女は咲夜と同じ色の髪をしていたから。
「隣のクラス」
B組の隣、A組は特殊能力者専用クラスで、そこに通う生徒は勿論、担任も特殊能力者、彼等は能力者であるせいで、裏競売などでは高値がつく、そのため狙われやすい、そんなやからから守るためにこの教室がある。
休み時間、各々のクラスで昼食を取るのもいいが、太陽は屋上へ向かう、日の光は好きだ
「おい、花園!」
誰が誰に言ったかなんて分からないが、花園その言葉に反応してしまった。
「えっと」
視線の先で絡まれているのは、今朝見かけたA組の生徒だ。
「俺透視の能力があるからわかるんだけどさ、あんた相当美人だろ」
「まじ、前髪で全くわかんねー」
「ねー見せてよー」
完全にナンパ状態だ、普段なら他クラスの問題なんて見てみぬふりをしているが、黄緑の髪と花園という苗字、気になって仕方ない。
「あんま相手が困るようなことするなよ」
気付けば太陽は男子生徒と女子生徒との間に割って入っていた。
「誰あんた?」
「B組の日向・太陽だ」
「普通クラスの奴が特殊能力クラスに首突っ込むなよ!」
男子生徒の内もう一人の能力は腕を大きく出来るらしい。巨大化した腕で殴りかかってきた。
「止めて!」
とうとう泣き出してしまった女子生徒がそう叫ぶ。とたんに床から植物が生えて相手の攻撃を遮った、紫の花がついている、ありえない大きさだがこれはゴボウの花、花言葉はたしか「私に触れないで」「用心」「いじめないで」「しつこくせがむ」だったはずだ。
「咲夜?」
とたんに辺りは大騒ぎになり教師達が駆けつけた。
「太陽?」
その女子生徒は咲夜だった、髪を伸ばしたのは、引越し先の小学校と中学校で能力者であることがバレ、イジメに会っていまい、顔を覚えられないために隠していたためらしい。
次の日一緒に昼食をとる約束をして。
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