04-3.後

9/36
前へ
/133ページ
次へ
「じゃあ、さ、なんでそんなに不機嫌なの?」 「……不機嫌ですか? 僕」 「なーんかよそよそしいっていうか、シラっとしてるっていうか?」 「はあ?」  よそよそしかったつもりもなければ、ケンに対しシラケた態度を取った覚えもないが。 (そんな風に見えたのかな?)  と思っていたら 「……俺のこと、嫌いになった?」  不意打ちの一言がふってきた。 「はあ?!」  今、食べたもの全部胃から出てきそうなくらい石原は驚いた。 「何をっ、急にっ、そんなこと……っ!?」  その上、またもやオロオロと取り乱してしまっている。 「だって、手を握って寝るの断ったから……」  ボソボソとケンが言うと 「あ、ああ。そういえばそうでしたね……」  昨夜のことを思い出した。 (むしろ僕はその後に君が謎の行動する方が気になっているんですけど、ね) 「そんなんで嫌いませんよ」 「本当?」 「本当です。むしろケンのことは好……」 「す?」  ケンは聞き逃さなかった。 「ななななななな、なんでも、なんでもないです。なんでもないです」 (僕は一体何を、妙齢のケンに口走って……!)  明らかに同様隠せず (マコトさんに「好きですよー」と話しかける勢いで、つるっとケンにも言いかけてしまいました)  うっかりいつも愛犬に愛を語りかけるように好意を口にしかけたのを猛省した。
/133ページ

最初のコメントを投稿しよう!

127人が本棚に入れています
本棚に追加