04-3.後

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(このままでは身がもちません……)  なんの地獄だか天国だか分からない夜が二日ほど過ぎた。  早朝、5時。  石原が爽やかな朝に不似合いな形相で、もそもそと着替えていると 「石原さん、また不機嫌なのか?」  隣で同じように着替えたケンが、覗き込むように尋ねてきた。 「誰かさんのお陰であまり寝られなかったので……」  ぼそぼそと答えると 「怪異現象なんか起こっていなかったぜ」  耳聡く聞きつけたケンが答える。 「なんで知っているんです?」 「だって、それは……隣で寝ているから、な」  親指上げてポーズを決めるケンを (このやろ)  と睨み返す。 「さっさとゴミ拾い行こうぜ。で、帰りに朝市寄って、朝飯用にアジの一夜干しを買お。な。それで機嫌直せよ」 (一夜干しで僕の機嫌を取ろうなんて……)  と思うものの、気がつくと笑顔になってしまっている。 (む。ケン、やりますね……)  少しだけ、気分が晴れていた。  ケンに宥められるようにして、目の下にクマを作りながらもゴミ拾いの後、一夜干しを添えた朝ごはんを食べ、そして、いつもの立番をしていた頃だった。 「♪♪♪」  胸に忍ばせておいた携帯がメールの着信を知らせる。  石原が携帯を覗くと (え? 早っ……!) 「志々目真」と表示されていた。
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