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「石原さんっ」
生活スペースの畳の上に石原を押し倒すと、ケンは全開にした制服のシャツと石原の身体の隙間に手を滑り込ませた。
残るランニングシャツ一枚隔てた石原の筋肉質な体に戸惑いつつも触れ、そっと抱きしめてみた。
それが微妙なタッチになり、石原はくすぐったそうに身を捩った。
「んっ……!」
その仕草が扇情的でケンは、目の前の襟元に顔を埋めた。
ぺろりと首筋を舐めあげたら、ぴくんと石原の体が強張った。
石原の汗の味がした。
「もっ……! 順番、違うでしょ?」
ケンの頭を避けるように顔を傾けた石原がなじる。
「ん……」
返事なのかどうかよく分からない声を出すと、ケンは首から顔へと舐めながら移動した。
口元を舐められて、ケンの要求が石原に伝わる。
「……っ」
求められるままに石原が口を開くと、ケンは遠慮なくそのまま舌を差し入れた。
「ん、ふ……っ」
呼吸もままならない。
(石原さんっ、石原さんっ、石原さんっ、石原さんっ、石原さん……っ!)
ケンがこれまで抑えてきた気持ちをそこで暴れさせる。
石原の舌をとらえると、激しく絡め、吸いあげた。
「んっ、んー……っ」
決して苦痛ではない声を上げ、石原は荒く息を吐いた。
石原も負けじと、お互いに噛みつくようなキスを交わす。
「もっ……! こら、いい加減に……」
しばらくしてやっと唇を解放されて、石原はまたもやケンに文句を言った。
「僕のこと、好きだと言いなさい」
「俺、言ってなかったけ?」
順番とはそのことだったかと、ケンは思った。
「そんなの言ったも同然じゃん」
石原の両耳に小指をかけ、顔を左右から挟むように掴むと、真上から眺める。
奇しくも深夜に石原を眺めていた時と同じ姿勢になった。
あの時欲しくてたまらなかった唇は、今、ケンの唾液で濡れていた。
それを拭うように、そっと親指でなぞると愛おしさが募る。
「……怒った顔も可愛いなぁ、石原さんは」
自分のはやる気持ちを紛らわすように言うと
「誤魔化されませんよ」
真下からきつく睨まれてしまった。
「あ、こら!」
真上からケンは頭を下ろすと、石原の右頬にキスを落とした。
「こらぁー!」
そのまま耳まで舐めながら移動し、耳たぶを甘噛みする。
自分の体の下で、何やら不服そうに石原がジタバタと暴れているが、全く気にならない。
相手がいくら柔道の達人でも、この状態で189㎝の自分を撥ね除けることができる人間などいやしないと知っていたからだ。
そっと耳に舌を差し込むと、石原は
「……ぁっ!」
差し込まれた耳まで赤くして、より激しく暴れるだけだった。
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