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02-1.前
「あ、待ってください」
「うん?」
真と石原がパトカーで警邏に出ていた時だった。
「ちょっと職質、かけてきます」
「え? おい?!」
石原が路肩にパトカーを寄せて停めると、自転車を押す老人に声をかけるべく下りた。
この近所の公園に無断で寝泊まりしている、いわゆるホームレスの老人だ。
何度か見かけたことがあったので、真も知った顔だった。
(なんだって、突然、このじいさんに声をかけるんだ?)
いつも自転車でこの辺を周り、空き缶や鉄類などを集めて売り、細々と生活しているらしい。
警邏に出ると、ほぼ毎回と言っていいほどよく会った。
公共の施設を私的に利用しているという点では、違法ではあるのだが、彼が住んでいる公園は、住宅街から離れほとんど人が行かない場所にあったので周辺住人からの苦情も出ていない。
それで、真たちもそのままにしておこうと話し合った老人だった。
その老人に、突然、今日、石原が声をかけた。
何を聞くのかと、慌てて真も石原の後を追うようにパトカーを降りた。
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