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「え? もしかして……。いったん仕切り直し?」
「うーん……。そうですねぇ……」
「こんな所でやめられたら、俺……」
「なんだかよく分からないけど、変な言い回しは止めなさい」
「俺、絶対に嫌だよ。ぶっちゃけ、もうガマンできないよ」
「それは僕だって」
「え?」
(今、また、さらりとスゴいこと言ったよ、石原さん!)
とケンは思ったが、下手なこと言ってこの嫌な流れに拍車をかけるのは避け、ケンはぐっと言葉を飲み込んだ。
そして、最上級の褒め言葉と思えたことを伝えた。
「大丈夫。石原さんの匂いはミントの香りだから」
「なな、なんですと!」
今度こそ石原のビンタが炸裂した。
「痛……。なんで?」
石原の強烈な右を食らって、ケンは涙目になるが
「ミミミミミミミントはダメです。なんて、いかがわしい!」
石原の方も悲痛な叫びを口にした。
「いかがわ……? なんで? ミントって爽やかな香りの代名詞じゃん」
「違います。ミミミミミミミントは……、ぇ、えっちなんです……」
「意味が分からんのです……」
心底思ったことをケンは呟くのだった。
「安心してよ。石原さん、朝のゴミ拾いの後シャワー浴びてたじゃん。立ち番くらいでそんなに汗かいてないって」
「うぅぅ……」
納得しかねている石原に
「はい、もう四の五の言わないー!」
問答無用で、ケンは石原のスラックスと下着を一緒に下ろすのだった。
「ほら、ね、言った通り。ボディソープの匂いしかしないよ」
「そんな所、匂うのは止しなさい……」
もうどうしていいのか分からずに困り果てているようだが、石原は嫌がってなどいない。
ケンは、それに安心した。
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