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「今、押している自転車ですが、あなたのですか?」
突然の質問に、真も老人も驚いた。
(このじいさん、自転車なんていつも押しているだろうに。なんだって、突然……?)
石原が突如彼に言いがかりを付け始めたと思い、真は焦った。
と、いうのもこれが初めてのことではない。
(こいつ、よく職質で引っ張るからな……)
真は、石原に内心感心しつつも、冷や汗もかかせられることも多かった。
(そのうち、やっかいごとに巻き込まれなきゃいいけど)
恐ろしいことに、石原のこういった職質はよく当たる。
上司の岸田曰く
「石原の職質はすげえぞ。十中八九、当たりだからな」
の太鼓判付きだ。
(だけど、それって1、2回は外れるってことだろ?)
「石原の直感なら、大体、大丈夫だろ」
みたいに言われるが、同行する真は冷や冷やさせられることが多かった。
(いつも勘で動きやがって。間違ってたら、どう収集するよ、これ)
今回も、もれなく真はイヤな汗をかいていた。
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