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「え。マジか?!」
携帯で歌の意味を調べた真が呟く。
「『あなたに忘れ去られてしまった我が身の事よりも わたしを愛してくださると神様に誓ったあなたが神罰を受けはしないかと心配です』だって」
自分は忘れられてもいい。真に神罰がくだらないように、自分は身を引こう。
(じゃあ、石原さんの願いは叶えられたわけだ)
横で小躍りしている真は、嫁との関係も良好。一児の父になりうることもできた。今は、二人目がお腹にいるらしい。
「はは、俺ってバカだな」
「俺以上のバカだな」
「ケン君以上のバカか。控えめに言ってそれ最上級のバカってことだな?」
「なんかバカにされた気がする」
「それは気のせいではない」
(石原さんらしいな)
適当なことを言っている振りをして、本心を語る。
(今頃まこりんは石原さんの気持ちに気付いたようだが、俺は、なんとなく分かってしまった。石原さんは酒で記憶をなくしたと言っていた初エッチの時に、既に「真さん」と呼んでいたんだったら、それってもうかなり前からこの不純刑事のこと好きだったんじゃねーかな)
そして足枷になるのを厭い、離島にやって来たのだ。
(もしかして、まだまこりんのこと好きなのかな……?)
(いや、それはないな。石原さんに限って。あんなにも俺に愛を語ってくれるんだから……)
ちらりと真を見る。
(なぜかこの男には通用しなかったみたいだけど)
(でも、なんで石原さんは俺を好きになってくれたんだろう?)
真は真で、うだうだと何やら呟いていた。
「陸裕に、俺が女になびいちゃった所為で振られたと思っていたけど、違ったのな。……今からやり直せないかな」
「は?」
唐突な話にケンは驚いた。
「ケン君みたいなちんぴら君に陸裕は任せられない」
さっきから最上級の悪口しか言ってこない真に、ケンは不快をあらわに
「あんた、何言ってんの? 嫁さんもお子もいるのに」
と逆襲した。
「女で一番は嫁。ちっさい子で一番はうちのちび。だけど男で一番なのは陸裕。何が悪い?」
図々しくも開き直った真に
「無理。石原さんには俺が居るもん」
ケンは懸命に迎撃。
「譲ってくれない?」
「ふざけんな。誰が譲るか。俺が石原さんを幸せにするんだから!」
真との不毛なやり取りをしていると
「ケン……」
気付くと、500mlのペットボトル数種を抱えた石原が、病室のドア付近に立ち尽くしていた。
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