02-3.後

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 医者の言ったとおり、二週間もすれば傷はふさがった。  その間、石原は毎日家にやってきて、利き手が使えない真の為にと世話を焼いてくれた。  掃除・洗濯・食事に風呂の支度。家事をしてくれる石原を見ながら (新婚さんみたいだなー)  と真は幸せな気持ちになった。  あの時、石原の気持ちは確認できた。  しかも、ここは自分の家だ。  誰に遠慮することなく、真は、全力でいちゃいちゃする気満々だった。 「陸裕ー。ご飯、食べさせて」 「スプーン出しましたので、ご自分でどうぞ」  という塩対応も 「陸裕ー。お風呂一緒に入って洗ってー」 「……」  には、渋々応じてくれた。  右手の包帯が濡れないように、ビニール袋に包み、高くあげる。 「一緒に入る理由がありません」  と、真の希望には沿わず、石原は服を着たままだったのが残念だった。  それでも、石原が洗ってくれるというのは嬉しい。 「手のひら洗いでお願いしまーす」  真が言うと、石原にあからさまにイヤな顔をした。 「変態ですか、あなたは?」 「普通ですぅ。俺の玉の肌は、これまでの手のひら洗いのなせる技ですぅ」 「そのふざけた言い方やめないと、僕、帰りますよ」 「うわ、嘘! 帰らないで。マジ、風呂は無理。洗ってくれ」  一変して真が頼むと、石原はため息一つ吐いて 「……仕方ないですね」  と、手にボディソープを取った。  プッシュすれば泡の出るタイプを使っている当たり、玉というほどではないが、手のひら洗いをしていというのは嘘ではなさそうだ。
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