02-3.後

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 首、耳の後ろから体の前面を洗い、腕を洗う。  真はご機嫌に身をゆだねている。  後ろに回って背中を洗い、足を洗った。  そして、石原はピタリと止まる。 「……やはり、そこも洗わねばなりませんか?」  真の体を大方洗い終わって、残るは股間のみになるとさすがに石原は戸惑った。 「そこは一番丁寧に洗わないと。不衛生にしてたら、俺、病気になっちゃう」 「……」  真の不純な動機をひしひしと感じるが、怪我をした原因が自分にある。  石原はおずおずと手を伸ばした。 「あの、なぜ大きくするんです?」 「陸裕の洗い方がエロいからだろ?」 「……病気になっちゃえばいいのに……」 「なんか言った?」 「いえ」  調子に乗っている真が腹立たしい。  いっそのこと、トリートメントまでして「世界が嫉妬するものへ」変貌させてやろうかと石原が画策していると 「あ」  突然、真が声を漏らした。 「どうしました?」  悪戯の素振りに気付かれたかと石原が内心焦っていると 「しばらく……出してなかったので、たまっているんで収まりがつかなくなった。このままシテもらってもいい?」  思ったよりも自然な言葉だった。  確かに。  石原の手の中のものは、洗い始めとは違い、随分と勢いを持っている。 「たまには左手でするのも、感覚が違っていいという人もいますが」  と言えば、真は雨に打たれる空き地の子犬の目をして無言で石原に訴えてきた。 「冗談ですよ」  そういうと、真がにわかに笑顔になる。 (分かりやすい……)  石原は感心してしまう。 「ダメと言ってもきかないんでしょ? いいですよ」  同じ体の構造。  ここまで来たら、収める方法など一つしかない。  無事な真の左手でするのがダメなら、真の欲望を解き放つことができるのは、自分の手しかない。 「じゃあ、もうちょっと強めにしごいて」  心なしか嬉しそうな真の声だ。 「こうですか?」  石原に触ってもらって夢見心地な真だが、あからさまな態度に石原も悪い気はせず (なんだか妙な気分だな)  と感じていた。
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