02-3.後

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 ―――あれから二週間。 (期待してなかった訳じゃないんですが……)  電話を切ってから、石原は理解不能な戸惑いを覚えた。  医者から 「もう消毒もいらないから、来なくていいよ」  と言われ、真は一番に石原にそれを伝えた。 「仕事帰りに、うちに寄ってくれ」  と。 「手はくっついたんですか?」と聞かれ 「くっついたけど、まだ中指が痺れる時があるんだよな」  悲壮感漂わせて言っても、相変わらず石原は 「はいはい」  としか言ってくれない。  真の同情引いて甘える作戦がうまく行った試しなどないのに、毎度毎度この男は性懲りもなく挑戦し続けていた。  そんなことをやっていれば、石原が相手にしなくなるのも当然だ。 (塩対応に磨きがかかっちまった)  塩を通り越して塩の結晶化対応の石原だったが、その日、ちゃんと石原は真の部屋に来てくれた。
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