02-3.後

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「あれ? 一人で飲んだんですか?」  キッチンの片隅に、洗ったビールの空き缶が1本。 「うん。快気祝いに、ちょっとな」  酔った様子があまり見られない真に 「快気祝いって一人でするもんでしたか?」 「陸裕、もう昼飯食べたって言ってたし」 「夕飯は一緒にしましょうね」  石原は、悪びれずにスーパーのレジ袋を掲げてみせる。 「だったらケーキも買ってきた方が良かったですか?」 「いらない。陸裕がいい」 「はいはい」 「『はい』は、一回」  学校の先生のようなことを言う真に 「ちっ。めんどくさい酔っぱらいですね」  心底、石原は思った。 「ビール1本で酔うかよ」  言いながら、石原と肩を組むかように捕獲すると、14時を過ぎたばかりだというのに、寝室にずるずると連れ込んだ。  シフトは頭に入っている。  石原は夜勤明けだ。  すると今日の午後から明日までは休み。  夜勤明けで多少疲れてはいるだろうが、ここに来てくれたのだ。  これからの石原の時間を、自分と過ごしてくれる。  想像するだけで、幸せな気持ちになった。
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